nanana no diary

ナナナンと、息をするように、

意外と知らない相続税改正の話

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photo by Tax Credits

それなりにいい年齢になってきて、そろそろリアルに相続のこととか考えるようになった今日この頃
どうも来年1月(2015年1月)から相続税に何やら変更があるというので調べてみました

まずは現行の相続税について押さえていきたいと思います

日本では、相続税相続税法(昭和25年3月31日法律第73号)に基づき課される。なお、同法には相続税と贈与税の2つの税目が規定されているが、これは、後者の贈与税が、相続税の補完税であることによる。
相続税 - Wikipedia

相続税と贈与税があるわけですね

財産を贈与した方ではなく財産を受け取った方に納税義務があるので、厳密には「受贈税」と呼ぶべきである。
贈与税の目的の1つが、生前贈与による相続税回避の防止にあることから、相続税の補完的な税の性質を持つ。したがって、相続税法(昭和25年法律第73号)の中で相続税とともに規定されている。
納税義務者は、贈与によって財産を取得した個人であるが、権利能力なき社団、財団も例外的に納税義務者になることもある。
日本においては贈与税のために寄付行為の委縮を招いていると指摘されており、問題となっている。
贈与税 - Wikipedia

贈与者の死後に財産を受け取ると相続税、生前に受け取ると贈与税、簡単にいうとそんな区別で良さそう

現在(平成24年度)、贈与税の基礎控除は年間110万円である。その金額までの贈与なら、課税されない。また、その後相続が発生した場合、遡って相続税が課税されることがある(相続開始前3年以内の生前贈与加算)。
贈与税 - Wikipedia

なるほど、生前贈与を計画的に年間110万円以内で実施していくと、納税せずに財産の受け取りが出来そうですね
でも現実的には不動産などは分割して贈与していくのは難しいでしょうし、2000万円を贈与するのに20年近くかけて受け取っていくのは無理がありますよね
ということで、この生前贈与に加えて、「相続時精算課税」という制度があり、

平成15年度(2003年度)より、従来の暦年課税制度に加えて、「相続時精算課税」制度が創設された。これは、贈与税・相続税を通じた納税を可能とした制度である。対象者は、贈与者が65歳以上、受贈者が贈与者の推定相続人(代襲相続人も対象)で20歳以上となっており(年齢判定は贈与があった年の1月1日時点)、親のその子供が該当する場合が多い。

  • 控除額は2,500万円(累積)で、控除額に達するまで複数年に渡り利用できる。年間110万円の基礎控除は使えない。
  • 控除額を超える贈与を受けた場合は、超える金額について贈与税を納付し(税率は一律20%)、贈与者の死亡の時に、それまでの贈与財産が相続財産へ組み込まれた上で納付した贈与税は相続税で精算される。
  • 「相続時精算課税」制度と従来の暦年課税制度とのいずれかを贈与者毎に申告時点で選択できるが、一度選択したら暦年課税制度に戻ることができない。
  • なお、平成26年12月31日までであれば、住宅取得等資金(一定の住宅新築や購入、増改築用の資金)の贈与に限り、従来の2,500万円控除に上乗せをして、平成23年中は3,500万円(平成22年中は4,000万円、平成21年中は3,000万円)までの控除を受けられる特例がある。なお、平成24年に関しては上乗せ制度がなくなった。これについては贈与者の年齢は関係ない。

贈与税 - Wikipedia

うーん、なかなか難しいですね……
先に書いたように、贈与税の控除範囲内=年間110万円以内で贈与していくと贈与税が係らないわけですが、それに加えて、
この「相続時精算課税」の申告をして認められるとまとめて2500万円までの贈与でも贈与税が係らないというわけですね
(生前贈与された上にさらに死後に相続を受ける場合には、この生前に贈与された財産も含めて相続税を算出される=相続時に合算して精算します、という概念ですね)

相続時精算課税のメリット・デメリット [相続・相続税] All About
「相続時精算課税」についてはこちらの記事が分かりやすいです

なるほど、贈与税についてはざっくりこんな理解です(間違いは誰か突っ込んでくださいmm)

では、問題の相続税ですが、課税の対象となる財産は下記のようになってます

  • 動産
  • 不動産(土地や建築物など)
  • 無体財産権(特許権
  • 債権
  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券(株式、国債投資信託など)
  • ゴルフ会員権、リゾートクラブ会員権
  • 自動車、家財、書画骨董など
  • その他金銭的価値を有するもの全て
  • 生命保険金等
  • 死亡退職金等
  • 生命保険契約に関する権利
  • 相続開始前3年以内に、被相続人から暦年課税にかかる贈与を受けた財産
  • 生前に、被相続人から相続時精算課税にかかる贈与を受けた財産

相続税 - Wikipedia

およそ世間一般で「財産」と認識されるものは全て対象になりそうですね。

相続税の対象となった財産から、借入などの債務、葬儀費用を控除し、さらに次に挙げる非課税財産を控除することが出来る。

  • 墓地、仏壇、祭具などの祭祀用財産
  • 国・地方公共団体、特定の公益法人に寄附した財産
  • 生命保険金のうち、法定相続人の数 × 5百万円に相当する額
  • 死亡退職金のうち、法定相続人の数 × 5百万円に相当する額

相続税 - Wikipedia

墓地、仏壇、お葬式に係る費用などは控除されるようですね。保険金の受け取りも一定額までは控除される、と……なるほど

この上でさらに下記の計算式で相続税額が決まります

①課税額の計算

  • 遺産の総額 - 非課税財産 - 債務および葬式費用 + 相続開始前3年以内の贈与財産 = 相続税の課税価格(千円未満切捨)

②課税額ー基礎控除=納税額

例えば、①課税額が8000万円で、法定相続人が3人の場合、

8000万円 - (5000万 + 1,000万円 × 3 )= 0円

となります。つまり、この場合相続税は全額控除されて納税の必要はなくなる…ということです
このように計算すると……あれ?案外相続税って全額控除されるケースが多いじゃん! ってことに気づきます
いわゆる庶民にはあまり関係ない問題だったなぁ……というのが現行の相続税の課税基準でした


ところが!!!

平成27年1月以降の予定としては、6億円超で最高税率が55%に引き上げられるほか、基礎控除も減額され(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)となる。震災復興と財政の両立を目指した税制改正だが、逆進性が強く格差が広がるとされる消費税・累進性が強く労働効率が下がるとされる所得税に代わる増税として期待されている。

平成27年1月……つまり来年1月に、上記の基礎控除の基準が変わるのですね
この改正後の基礎控除でさきほどの、①課税額が8000万円で、法定相続人が3人の場合、を計算すると、

8000万円 - (3000万 + 600万円 × 3 )= 3200万円

一気に3200万円が相続税の課税遺産総額となるわけですね
その上で平成27年1月から税率も下記のように改正されるので、

課税額 税率
1,000万円以下 10%
3,000万円〃 15〃
5,000万円〃 20〃
1億円〃 30〃
2億円〃 40〃
3億円〃 45〃
6億円〃 50〃
6億円超 55〃

課税額3200万円の場合、税率は20%、納税額は『640万円』となります
なるほど……

ここまで書いてもあまり実感は湧かないかもしれないですが、個人的にはリアルにシュミレーションすると、
改正前であれば、0円だった相続税が、おそらく改正後は数百万の相続税を納めることになりそうだ…と気づいたわけでした

正直なところ、あまりリアリティを感じていなかった相続税の話ですが、今回の改正を前に少しだけでも理解できたのは良かったと思っています
具体的にどのように財産を受け継いでいくかは、まだまだ先の話ではありますが、徐々に家族でも相談していきたいと思っています

震災復興と財政の両立を目指した税制改正だが、逆進性が強く格差が広がるとされる消費税・累進性が強く労働効率が下がるとされる所得税に代わる増税として期待されている。
相続税 - Wikipedia

たしかに、「それなりに持ってる人たちから、しかも確実に増税しよう」というのは、消費増税などよりは筋は良さそう……
そんなことも思った今日この頃でした

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